「お父さんは?」
「いません……」
「君以外の身内はいるかい?」
「分かりません……」
「なら、誰か頼れる大人は?遠い親戚でもいい」
「……」
「君のお母さんはどこかに勤めているかい?」
「……、『体幸会』という団体にいて、仕事は……」
「たいこ……ああ、はいはい。よくいるんだよね……」
やれやれと言いたげな医者が看護師に何かを言ったあと、カルテを見ながら僕に「後のことはこれから来る人に任せて、君はもう休みなさい」とゆっくりした口調で言ってきた。
休みなさいと言われてどうしようと思う僕に看護師さんが、「迎えが来るまでここにいてね」と別室に連れていかれた。
ベッドよりは固いような診療台が並ぶ一室、扉近くの台に僕が腰かけるなり、看護師さんがピンク色のレールカーテンを閉めた。


