僕を退けさせた足が床を踏むなり、うげっとすぐに上がった。失禁した伯母さんの尿を踏んだんだろう。
藤馬さんが何かをしたのか、もしくは自分で頭をぶつけたのか、とりあえず息はしている伯母さんに藤馬さんは蹴りでも入れるような構えをしたが、僕を見下しため息をついて床を踏んだ。
「やってらんねぇ。ニワトリじゃあるまいし、まだてめえは“それ”かよ」
あーあ、と藤馬さんが伯母さんを担いだ。気に入っていたのによぅと汚れた羽織りを愚痴りながら進もうとしたので、どこにと声を出してしまった。
「なに?見捨ててほしーの?別にいいぜ、俺は。てめえが奥さまの助けを――その気持ちが要らねえつーなら」
「五十鈴さんが……」
「奥さまはまだ来ねえよ、県外いっからしばらくかかる。で、だ。そこでどこでもすぐさま行ける俺に頼んできたんだよ。
『渉が、渉が』とかなんとか、“柄にもなく泣きそうな声でだとさ”……まー、俺はケータイないんでな。聞いたのは変人の伝いにしても、“嫌なもん聞かなくて良かった”わー。
もっとも、てめえを“あのまんまにしとけば、同じことになっから”な」


