中指斬残、捌断ち儀



「あけてぇ、水をかけっ、かげぇっ、あアなたのノためメにいい゛!」


廊下で叫ぶ伯母さんの声。一瞬だけ、“二重に聞こえた”ような気がした。


騒音混じりの中、色がない無機質な機械から再生されたような声。


「わたるぅ、あなたの「アナタノために「タメ二水をかけま「アナタノ」しょう!」


混じる声。
おうむ返しをしていたのに、途中から明白な感情を持ってくる。


ソレは言う。


「あなたのために」


アレは、言った。


“アナタノタメ二”


「ひっ……」


意識した瞬間、ドアの前にはあの黒いモノが立っていた。


膝から下がない低い身長。それに不釣り合いな長すぎる手がドアに――ドア向こうへと伸ばされた。