恐怖をなくすためにも。伯母さんに近づきたくないという思いを消すためにも。
気持ちを奮い立たせて、震える体を両手で抱きしめた。
はあっと肺の空気を入れ換えて、自身がしたことへの尻拭いをしようとしたのに、ドンドンドンドンという音で整った気持ちがまたもや崩された。
拉致があかないどころか、泥沼にはまっていくようだ。
怖さが連鎖する。
僕は傷つかない、傷つかないから大丈夫とも言い聞かせて――ふと、うなじ部分に寒気を感じた。
さわり、と冷風が撫でてきたような。
うなじに手を置いて後ろを向くも、あるのはタイルの壁。トイレ全体を見渡しても何もない。
小窓はしまっていて、外から通すものと言えば落ち日となった暗い橙色。


