中指斬残、捌断ち儀



出入り口は一つだけ。けれどもこの出入り口を開けた途端、伯母さんが飛び込んでくるのではないかと、僕は扉から離れた。


トイレのタンクに背をつけて、その拍子でレバーが僅かに動いたらしく、水がごぽっと音を立てた。


「はっ、はっ、ぐ……」


芳香剤なんか置いていない和式トイレで荒い息を繰り返したためか、気分が一気に青色に染まるよう。


気持ち悪い。


「ぐ、げほっ、げほっ」


便器に撒き散らした物に内容物なんかなかったけど、我慢してきたものが吐き出された気分になった。


やっと素直になれたような――壊れてしまった伯母さんの気色悪さと優しさ(異常ぶり)は、僕の自覚が足りないだけでよほど堪えたらしかった。