「――」
叫んだ。
あまりにもその表情が“怖くて”。
伯母さんが僕には絶対に見せることない笑顔を、こんな時――人らしさを失った時に出すだなんて、不気味でしかなかった。
突き放してはいけないと思ったのに、怖さから反射が働いてしまう。僕から離れた伯母さんに『しまった』と思えど。
「わたる、わたるぅ、わたるう゛、わたるう゛ぅぅぅ!」
腕だけで這いよる伯母さんを見ては――いいや。
僕の名前を呼ぶ伯母さんが怖かった。
呼ばれなかった名前。春夏秋冬家に来た日以来、一度も呼ばれなかった名前を、固執に呼ぶ伯母さんが“異常すぎて恐怖した”。
当たり前と普通じゃない区別、なれば、“僕にとっての普通じゃないことがこれ”だった。
異常行動ではなく、昔の母親みたく接せられることが――
怖かった、ひたすらに。狂った伯母さんを見てもまだ何とかしなきゃと思えたのに、僕に優しい言葉をかけ、僕の名前を呼ばれた時点で、“もう駄目だと思った”。


