中指斬残、捌断ち儀



僕の膝上にもかかったそれは生ぬるさを感じさせた。べっとりと付着したものに嫌な顔をしてしまったかもしれないが、それ以前に伯母さんが心配になった。


背中をさすり、頭で次はどうするばかりを巡らせる。


対処法なんか僕にはなかった。こうなってしまった人への接し方さえも分からない。


何も、出来なかった。

僕の、せいなのに。


「づ、げえっ、ご、え゛ぇっ、しつげぇ、のろ、ご、じゃねんん、はらっ、げえっ」


俯かせた頭が真っ直ぐに、相変わらず口から吐瀉物が溢れているのに姿勢のせいで逆流したものがまた喉に戻るようだった。


ごほっと咳き込めば、中身が飛び散る。目の前の僕の顔にまで。


「っ……!」


「あんたっ、げほっ、わるっ、きよめぎぃ、げえっ、ごほっ、あなた、みずかけ、うえ゛、あ゛あぁっ」


顔についたものを袖で拭おうとすれば、口端から汚物でも垂らしているかのような伯母さんが“にんまり”と笑う。


「あなたのために」


優しい母親らしく、ただその時だけ、伯母さんは“僕のために”と言ってみせたんだ。