びしょびしょに濡れた伯母さんを止めようにも、僕が言葉を発しようものなら叫ばれた。
叫んだ上でまたバケツの水を飲む。バケツに水がなくなったとなれば、自分の服が吸い込んだ液体をちゅーちゅー吸い初めて、ついには濡れた畳に舌を這わせた。
「かみか、さ、まっ、じゃねっ、おしえを、じゃねん、はらっ、まだ、こうふっ、ひゃひゃ、あいつらより、ぎぃ、ひゃひゃひゃっ」
畳にかじりつき、バタバタと手足を動かす伯母さんは、打ち上げられた魚のようだ。水を求めて死に物狂い。唇と鼻を擦ったらしく皮が剥け、血が滲んできた。
「やめっ、伯母さんっ!」
「あひゃひゃひゃやひゃ!」
僕の声は、やはり起爆剤にしかならなかった。僕以上の声をあげて、首を下げたまま立ち上がった伯母さんが腕を左右に振る。肩にしか力を入れてないらしく、遠心力で動く腕はゴムのようにしなる。でんでん太鼓という玩具に似ていた。腕が胴体から離れんばかりに、伯母さんは体を揺らしていた。


