中指斬残、捌断ち儀



二発目の拳が振るわれたとき、看護婦や医者に止められた。


いい加減、止まない争いにどうしたものかと業を煮やしていたらしい。


殴る手を止められ、羽交い締めにされたあとで貞夫共に、百々家族は病院から追い出された。


帰ってからもなお、飛び交う怒声は尽きず、この一連の出来事が各々に大きな溝を作ってしまった。


他人同士、『家族だから』と我慢してきた不満が堰を切ったように激しい波しぶきをあげる。


渉に関してはきっかけに過ぎず、できてしまった溝は深まるばかりで――そのぎすぎすした空気は渉が帰ってきてからも一向に消えなかったのであった。