「何度も言わせないでください、お義父さん。僕たちは渉を手離さない」
預けられるかないか前に、その意思はないと貞夫は言った。
貞夫の意思は変わらないと先ほどから伝わっていた明子の父はそれを崩すつもりも、ましてや無理矢理にことを進めることもしようとはしなかった。
手離そうという当人でさえ、渉の呪いに関して、いまいち実感というのが湧かなかった。
“アレ”に見初められた者は、徹底的に排除しなければならない。
実際に『殺せないから』と、百々の家系図から消された者は何人かいたそうで、その教えを未だに執着していたのは渉の曾祖母あたりまでで、あとは手ぬるいものだが。
呪いが、怖かった。
単純明快にそれだけのことに明子の父親は恐れを持っていただけだった。


