もっとも、まだこの時は軽い趣味の範疇でしかないため、僕のやることは本に目を通すだけになる。
「おもしろいですよ、都市伝説。口裂け女は犬が嫌いとか、笑ってしまうのもいくつかあります」
「俺が興味あんのは、ああ、あれだ。ホテルでボディシャンプー使った女が妊娠したってやつ。なんでも、ボトルん中に知らん男のせい――」
「ジャンルが違うだろうが、渉に変な話をするな!阿呆んだらっ」
がんっ、と額に湯飲みをくらった藤馬さんだった。お茶が入っていないあたり、五十鈴さんなりに配慮をしたんだと思い……ます。
「オカルト好きとかまじ陰気になっちまって、まー。先行き不安だわな。短い老い先だっつーのに」
「もともとは、昔のこと知りたかっただけなんですけどね」


