中指斬残、捌断ち儀



最初はひやひやしたものだが、盗まれたことはないので今は念のための注意をするだけで事足りた。


五十鈴さんにも、見るだけなら大丈夫ですからと言って、なんとか怒りを抑えてもらう。


「――ったく、せっかくのめでたい日に、お前は……」


「小言言うなって。小じわ増えるぜぇ。やめろよなぁ、奥さまはいくつになっても綺麗でいなきゃなんねえんだぞ」


「お前を突き放せるというのなら、しわの一つや二つ作ってやる」


とか言う五十鈴さんだけど、五十鈴さんの肌はまだまだ現役だ。20代であるには違いないにしろ、肌年齢を見ればまだ若いはずで、出会った時と変わらず綺麗なものだ。


「五十鈴さんって、歳を取りませんよね」


今更ながら、言ってみた。