「藤馬っ、人様の家の物を勝手に漁るなっ」
懲りない藤馬さんは、茶箪笥の上に置いてあった伯母さんの天然石を手にとって見始めた。
べつにいいじゃーん、と言いながら、藤馬さんは天然石が入った木枠ガラス蓋のコレクションケースを持って、碁盤の上に置く。
どっちら腰を下ろした藤馬さんは、我が物顔でケースに入っていた天然石を一つ一つ品定めしていくわけだが。
「盗まないでくださいよ」
「盗まねえよ。分かってんだろ?」
皆まで言うなや、という口振りに反論はしなかった。
藤馬さんがこうして伯母さんの天然石を品定めするのは、何も今回が初めてではない。
茶菓子目的で居間によくいる藤馬さんは、暇で手持ちぶさたになると決まって、あんなことをする。