危機感が薄い、と人は言うだろう。
けれども、透明人間がこれから殺しに来るよ?と言われた人は必ず言う。
『そんなワケあるか』
危機感が薄いどころか否定できるほどに、人は実感湧かない未来に対しては見向きもしない。
実感はあるから、僕の場合は『向き合っている』のだけど、やはり危機感は薄い。
二十歳までまだ猶予があったからか、もしくは、何とかなるのではと開き直ったか。――だったら、いいんですけど……
口をすっぱくするようだけど、僕はもはや自分(僕)のことなど、どうでも良かった。
大切になんかできない。大切にされてこなかったから。
今は五十鈴さんがいるけど、そこを上塗りするような存在がよく叫ぶ。


