中指斬残、捌断ち儀



――


どうしようもならない。


怖くても、震えても、怯えても。僕に宿るものが去ってくれるわけもないんだけど、依然として害はなかった“呪い”というものに、『もしかしたら』とこの無害なままで居続けるとも思っていた。


けれど、藤馬さんの話で、『ああ、やっぱり駄目なんだ』と確信した。


絶望はなかった。
だって、どうでも良かったから。


恐怖が蝕むときがあっても、次の日には普通に過ごせるほど、僕にとっての呪いとはひどく日常的で、影が薄いものだった。


藤馬さんや五十鈴さんは、僕の近くに何かいると分かっているみたいだが、僕にはまったく見えない。


いるかどうかも分からず、怪我しない体に『何かに生かされているんだ』と作為的なものを感じたとしても、僕は『何が守っているのか』を知らなかった。