中指斬残、捌断ち儀



藤馬さんの顎がくぃっと僅かに上がる。

僕の顔から視線を一つあげるように、何かを見て――


「たまったもんじゃねえよ。間違った神様作りされたあげく、呪いの犠牲者になった奴らが報われねぇ。

被害者が加害者になったってとこだな。負の連鎖ってやつ?恨み辛みを晴らしたい犠牲者(奴ら)は、儀式を続けようとした。

恐らくは、今まで――儀式終わったあとでも、百々の家系図から消えた奴がいるはずだ。単なる事故と処理されたやつも含めば、かなりの数いそうだなぁ。

恨み辛みだけの思念体はおっかねえぞー。どんな理不尽でも、『それでもこちらが被害者だ』って、ただひたすらに自分の憎悪を発散することだけしか考えてねえから。

二十歳とか二十年周期を守ったかも怪しいもんだ。儀式から脱線しても、奴らは殺せればそれでいい。

因果応報。自分のされたことを誰かにしたがっている、理不尽で悲惨な死に様を与えたくて堪らない。シシッ、“昔の百々が今の奴ら”だな」