中指斬残、捌断ち儀



体重により引き下げられ、引き伸ばされていく中指二本。


“あの時”は、やけに指が長い人だった。


やけに長くて、時間が経つにつれ、ず……ず……と骨が外れた中指が伸びて体が下がるも、足は宙ぶらりん。


柳の葉のように、届きそうで届かない場所でその人は――


「命綱っ、絶妙なとこで“死なせてはくれない命綱”!苦しいだろうよぅ、何もかも中途半端で!中途半端だからこそ、死ねない生殺しだ!

悶えて悶えて、途方もない苦痛に溺れて、それでも生き続ける自身に呪言を叫びたくなっちまうほどの“死に損ない”を、周りはただただ祝詞あげて、『これは栄誉ある儀式』って平然としてんだぜっ!

イカれてる、おもしれーっ。首吊りよかひでえ状態を美化しちゃって、あーあー、ほんと、どいつもこいつも脳みそに糞でも練り込んでたんじゃねえの?

殺害じゃねえよ、もう拷問だぜ!シシッ、拷問を神格化するための“必要過程”にしちまう奴らは、とうとう、とーとー“最後にぶっ飛んでくれちゃう”んだよなぁ、これがっ!」