藤馬さんがこちらを向く。へらへらとした口元が魔物めいて見えた。
「犠牲――神にする奴を殺害するわけだが、この殺害方法がエグいんだわ。絞首台――鉄棒みてえに組み合わせた材木の真ん中に首吊りの縄を垂らすわけだが」
その言葉に、僕が呪われた日にみた夢を思い出した。
もう長年見ていないのに、鮮明な映像が流れて――“良くないものが手招きしてきた”。
積木合わせみたいな簡素な絞首台。
真ん中に縄が一本で――
「そして首吊り用の縄を挟むように、“中指用”の縄が左右に一本ずつ」
大きなわっか一つに、小さなわっかが二つ。一つが長くて、二つが短くて……。
「神になる奴はまず殺さなゃなんねえが。易々と死んじゃ、“つまんねえだろ”?
神様になるやつが簡単に死ぬだなんて、呆気なさ過ぎる。即身仏のように並々ならぬ努力(苦痛)が伴って、更にはその死に方が人らしからぬもんになるなら、そこで初めて“上出来”になんだ。
人間から神様へ。高みに上るにゃあ、人間の限界を踏み越えろ。“人間捨てちまわなきゃ届かねえ位”なんだ、やられる方もやる方も、“イカれちまわなきゃやってらんねえよ”」


