中指斬残、捌断ち儀



顔を上げれば、姿勢が悪い丸まった背中が前にあった。


力が抜けたらしく、膝立ちが崩れていたようだ。


「中指斬残、については説明いらねえな。斬って残してー、捌断ち。捌(さば)き断ち。

それは何故かと問われれば、神様が貴方(だれか)の苦を持つために必要で。人たる者が神様になるには自身を供えよ、貴方(じぶん)のために。

さすれば、一族が殖(しょく)す――殖(うまわ)るであろう。これなんぞ、祝さずにいられる?中指斬って、二本が残って残って。我が一族は栄えるであろう」


へたりこんだ僕を見向きもせずに藤馬さんは解説を加えた。やけに丁寧に説明してくるのは、僕の情けない現状に機嫌でも良くなったんだろう。


気分が高揚すれば、人はよく喋る。