わざとらしく芝居をする藤馬さんだった。
「ああ、そうだ。いないんなら作ればいいんじゃね?ってなるよな」
「安直すぎませんか、それ……」
パンがないならお菓子を、並みに直球な考え方だ。
「そうでもねえよ。神なんか作れる。ただの狐を神と崇め始めたのも人間だし、一部の妖怪でさえも地方じゃ神様ってなるぐれえ、神様ってのは易々とできるもんなんだよ。
人の思い次第だな。そうして百々に至っては、より“神らしい神を作ること”ができた」
「それが、人身御供とかって言うやつですか」
「あー、ニュアンス的には微妙に違うかもな。いや、間違っちゃねえけど。神様への供物じゃなくて、自身の欲望の成就がための犠牲――とも、百々は思ってねえだろうよ。単に、一族繁栄がため“誇り高い位につけてやる”ってぐらいの“名誉ある役割”を与えたつもりで、悪気なんかこれっぽっちもなかっただろうなぁ。
人身御供だなんて非人道的なことではないと、ノリノリだったんじゃね?」


