喉が渇いたか、藤馬さんが茶をごくりと飲んだ。
「百々が祀ってた神が本当にいたかなんて、知らねえし、このさいどうでもいい。問題なのは、『神を失った百々が何を思ったか』だ。
わたるんならどうする?神頼みでしか救われないときに神に見捨てられたら、お前は何をしちまう?」
僕の意思なら「諦める」と言いたいところだけど、衰退したくない百々の家系はそんなことも言ってられないだろう。
考えるまでもない、いなくなったならば――
「代わりの神に頼る、ですか」
「そーそー。神は一人じゃねえのは八百万から分かることだけどよ。けどな、どれが百々の願いを叶えてくれる神かなんて選別が百々なんかにできるわけがない。神が人間の目にほいほい映るわけがねえからなぁ。
あー、困った。困った、困った。代わりの神がいないだなんて、いったいどうすればいいんだー」


