「焦るって……、そもそも百々は何を祈るんですか。神主って確かに神に祈ってそうですが、本来、神への“奉仕人”なんじゃ……。
神を奉る神社を管理し、その場の穢れを浄化するような護衛職みたいなものだと思うんですが」
「奉仕人でも人は人だ。召し使いだって、主人におねだりしたい気持ちがあってもおかしくねえじゃねえか。
神に言うにはちょっとした願望(おねだり)にして、叶わなければ困っちまう願いだなんて、さっきも言った通りに、一族の繁栄だ。江戸時代後期からもう既に危なかったんじゃねえの?
姓があるだけでも大層なことだってのに、それが落ちぶれるだなんて、ハッ、エリート街道からの転落だなんて、必死になるっきゃねえよ。
ただ、四方八方崖っぷちの百々が救われるだなんて、それこそ、“天からの助け”が必要だったわけだが――百々の神は見捨てちまった」


