中指斬残、捌断ち儀



「神社にはご神体として、それぞれ祀るべき神様というのがいると何かで聞いたんですが」


「ああ、一体なり二体なりいるだろうけどよ。そいつらとて、実際に見て祀られたわけじゃねえだろ。その土地柄の伝承やら、誰かが夢のお告げでみたとか、どれもが信憑性が低いもんだぜぇ。

間違っちゃいねえよ、神様なんて――祈るもんは“何でもいいんだ”。叶えてくれるかはさておきの話だけどー、信じる者は救われるってあるじゃん?

あれは神様が信じる者を救うってわけじゃなくて、“救われると信じたから、救われたと思う”って自己暗示みてえなもんなんだよ。

祈(しんじ)ることで“救われた気になっちゃえば”、いくらか安心できるだろうが、無論、これじゃあ、不幸打破の物理的解決にはなんねえ。

大概のやつはここで、『神に裏切られた』とご神体にツバ吐きそうなもんだが。神主ならそれ以上に憤慨しそうなもんだ。

毎日欠かさず祈り、信頼していた神が『百々を見捨てる』だなんて、あってはならないことだ。こちらは何の間違いも犯さず、規定通り礼節持って祈祷したってのに、なーんにも起こんないんじゃ、百々も焦るわな」