中指斬残、捌断ち儀



「最初は村一つに居を構えるようなどこにでもある神社だったみてえだが、本格的に栄えたのは幕末あたりか?

以降、百々は大正ぐらいまで立派な役職についていたわけだが――なあ、わたるん。なんで幕末から大正まで続いた百々が落ちぶれちまったんだと思う?」


「時代の波に勝てなかった、とか」


「まあ、それもあっかもしれないがよぅ。だとすりゃあ、明治時代にはもう落ちぶれてもいいもんだ。明治は特に、色んな宗教やら儒教やらが入り乱れていた時代だからなぁ。

産業かくめー、とかで常に新しいものを追い求めて開拓しちまう時代に、古い儒教なんか流行んねえよ」


「運良く残ったとかじゃないですか」


なくなるはずだったのに、なくならなかった。だなんて、そんなことに尽きるだろうと僕が短絡的に言えば、藤馬さんが「いい線いってんなぁ」と湯飲みを手にした。