「とりあえず、離れろや。近いっつーの!」
羽織を掴む手ごと、藤馬が五十鈴さんを突き放す。
まいった、と言わんばかりに藤馬が頭を掻き初めて、「ムカつく」とぼそり出した。
「そんなにそいつが……ちっ、うぜぇ。やらねえよ、だあれがやるか!さっき決めたんだよ、俺はこいつで遊び尽くすって――二十歳に死ぬまでいっちゃん不幸にするって決めたんだよ!」
「なっ……、お前、こんな子供に何を!あの子が……渉が、お前に何をした!子供一人ぐらい救ってもいいじゃないか!」
「知らねえよ。俺の知ったこっちゃねえなぁ。俺は俺のメリットあることしかやりたくないんだよ。骨折り損だなんてごめんだな。俺がそのガキ救って何になんだよ。え?なに?『ありがとう』の言葉貰えるよ、とか言うなよ、奥さま。
言葉ほどかりぃ謝礼はねえんだよ。それに、そいつの呪いはかりぃ謝礼で済むほど生易しかねえってのは、奥さまでも分かんじゃねーのー?」


