最初、肩を掴んでいた五十鈴さんでも、傷に障ると思ったらしく、手を離しておろおろし始めた。
「傷ができたって、呪いが……い、いやっ、というかまずは傷が……っ、だ、大丈夫か!」
「落ち着いてください、五十鈴さん」
苦笑いになるような慌てぶりだった。
確かに体はまだ痛むが、大したことはない。大丈夫ですよ、と僕は言った。
「ショタ好き奥さまは、俺よりもガキの心配かってーの。おー、いて。俺の方がよっぽどいてえのによー。こりゃあ、また、あの変人に看てもらわなきゃなんねーじゃん」
わざとらしく痛そうに立ち上がった男は、鼻緒が切れたぽっくり下駄を片手で持っていた。
「藤馬(とうま)、貴様が……」
やったのかと、五十鈴さんが男の名前を呼べば、「あったりー」と賞品でもくれるような声で応えられた。


