「怒りすぎてギャグめいたこと言ってんじゃねえぇっ。答えっから、だから叩くなってえの!奥さま以前に女としてどーよ、それっ。女なら男を叩くんじゃねえよ!」
「なに常識人ぶっている!子供に怪我させた大人が言うべきことではないだろう!あんな小さな体の子供に血を流させて――」
はたっ、と何かを気づいたかのように五十鈴さんが僕の方を見て、止まった。
僕と同じような呆然とした目をしつつも。
「怪我って、そんな……」
鋏を手放した五十鈴さんが、僕に駆け寄ってきた。
手放された鋏は落ちるはずだが、地面に落ちた音がしない。宙で消えたような鋏の所在を確かめようにも。
「渉、おまえっ、のろ、呪いはどうしたんだ!」
僕の肩を掴む五十鈴さんで視界が遮られた。


