身体の不愉快に対して、男の場合は感情の不愉快さを表に出していた。
「なに、“笑っちゃってんの”、お前?殺されてんのに、ありゃないわぁ。殺すこっちの身にもなれってーの、失礼極まりねえな、おい。
ぜんっぜんっ、楽しくねえ!」
理不尽で理解不能なことを言う男の顔前で扇が開く。
変わらずの黒――なのに、彼岸花の色が変わっていた。
見間違えようない色の変化。赤から白へと、ずいぶんと神秘的な模様になっていた。
なんで、と思う前に扇が閉じられる。全てを承知なのか、男は平然とした様子で束の扇を、意味なく上下に振っていた。
「くびりやめて、焼いちゃう?潰しちゃう?切り刻んじゃう?――って、どれも死にたい奴なんかにはご褒美でしかねえか、結局は死んじまうんだから。真性のMかよ。いじめんの好きな俺だけど、やっぱいじめるからには、目一杯苦しむ相手が見てえわけでよぅ」


