中指斬残、捌断ち儀



「ともかく、僕たちは渉を手放しません。呪いなんかあるわけないし。そりゃあ、原因不明の高熱で一週間も寝込んだけど……。今は回復の一途を辿っているじゃないですか」


悔いる前に、やはり呪いなんてと貞夫は現実的に反論した。


明子も賛同したように、合いの手を入れるが、明子の父親は首を縦には振らなかった。


「渉はもう……駄目なんだ」


口惜しいとならんばかりに、喉が上下する。


「あの子の寿命は二十歳までとなった。今は大丈夫でも、二十歳になれば……迎えが来る」


途方もなく先の話に、貞夫は肩から力を抜ける気分を味わった。


「お義父さん……、そんな迷信――いや、例え、先祖代々伝わっているような言い伝えでも、そこまで信じるのはどうかと思いますよ……」