赤と黒だなんて、五十鈴さんの服装でよく見ている組み合わせでも、この扇に関してはやけに妖しいものに見えた。
不安感を煽る。
彼岸花がやはり血飛沫にしか見えなくなってきたところで。
「見たな」
にやり、を含む声を聞いたあとに――体が宙を飛んだ。
「づ、はっ……!」
飛べば着地。スライディングも兼ねた不時着は、石畳の参道から剥き出しの地面にまで続いた。
おろし金にかけられたような擦った右肘から下が熱を持ち、傷はなくとも打撲した衝撃で全身から鈍痛を感じる。
「っ、う……」
何よりも痛かったのは左頬だった。
一連の出来事が早すぎて、状況の脳内処理が遅れたけど――ああ、殴られたんだと、口の中に広がる血の味で発端を思い出す。


