「明子、あんた……!自分だってあの子の面倒ろくすっぽ見ないでいたじゃない!それを私たちのせいにするだなんて、母親としてなんて情けないの……!」
「こっちは仕事なのよ!渉のためにも、お母さんたちのためにも、私たちは働いているの!それ以外の時間はすべて渉に使っているわっ。家にお金もいれない年金暮らしのくせによく言えたものねっ。
私たちがあなたたちのために働いている間、きちんと渉の面倒を見るぐらいのことはしてくれてもいいんじゃないのっ。特にすることもない、暇人なんだから!」
「それが面倒見てないって言うのよ!女なら家にいなさい、働きになんか出て……!我が子のことが疎かになるだなんて、母親として失格よ!」
「いつの時代の話よ!今は働かなきゃ食べていけないの、それに私のはパートだから、それほど仕事にばかりかまけているわけじゃないしっ。
母親としてきちんとやっているわよ、私は!一番手がかかるときなんかは、仕事もせずにつきっきりで見ていたし!
あんな『いい子』に育ったのは私と貞夫のおかげよっ。手がかからない時ぐらい、きちんと見てあげれないのかしら、二人は!」


