五十鈴さんには『そんなことはない』と言われても、培われ植え込まれた事柄を簡単に軽視することなんかできない。
毎日のように『呪われている、人を不幸にする』と水をかけられれば、僕はそうなんだと自己判断をして、『そうであるべき』とも自身を追い詰めさえもしていた。
それが僕。
呪い呪われな、不幸の象徴。
五十鈴さんにこのことを言えば、きっと『阿呆んだら』と叱咤されてしまうと思ったから、その関連の話はしなかった。
それよりも、もっと別の話をしたかったこともある。
学校でこんなこと習ったとか、五十鈴さんは何してたのとか、そんなありふれた話題で話の花を咲かせたかった。
そんなことを毎日望み、山間の帰路において彼女を探すことが日課となりつつある僕は。


