中指斬残、捌断ち儀



つまりの話、僕は黙って家を出ていくしかなかった。


不調というのはだるさと熱っぽさだけで、軽度であると判断した僕は普通に授業を受けていたわけだが――先生に指摘されるほど、悪化していたらしい。


自分の顔に触れてみたら、お風呂上がりほどにゆだっていた。


「熱かな。おうちの人に連絡して、迎えに来てもらおうか?」


先生の申し出には、肩が跳ねる思いとなった。


伯母さんに連絡だなんて、ひどい悪夢だ。


ただでさえ、日頃の接点をなくそうとしているのに、僕の事情で伯母さんを“呼び出す”だなんて。


伯母さんに迷惑をかけてはいけない強迫観念があった僕は、首を振り、先生から逃げるように教室を後にした。


僕の名前を呼ぶ先生に何か言いたかったけど、『僕と喋ると先生が呪われる』という文字が頭に過り、出かけの声を呑み込んだ。