彼女――五十鈴(いすず)の場合が梟(ふくろう)であった。


地区単位ではなく、人数単位でおおよそながら千の魂を管理する身としては、飛び回れるという利点は大いに役に立つ。


いつもどこかで死ぬ人のもとへ羽を羽ばたかせ、死んだのならば、即座に魂と肉体を断ち切ってみせる。


役職に相応しい、事務的にもなった作業をすることに五十鈴は何ら疑問も湧かないし、湧かす前に、休みなき多忙さがあっては仕事の意味を考える暇(いとま)もなかった。


死神――魂の伐採師が一人。そんな肩書きを五十鈴は見事こなし続けるわけだが、彼女には一つ大きな難点があった。


難点があるならば改善すべきだが、そもそも“改善しよう”という気持ちに蓋してしまえば手も足もでない。