いつしか、『死神を見たら死期が近い』と、とうとう死そのものと結びつけられるようになる。間違ってはいないが、死神はあくまでも『死にそうだから来た』だけであり、死を招いたわけではなかった。


誰かが死ぬのは死神(わたしたち)のせいではない、そうは言ったところで、今はもう死神は『悪者』として定着しつつある。


魂の伐採という役割に責任を持ち、大役だと誇りが胸にある分、その役職が『嫌われ者』であることにいい気持ちはしないが――それでも彼らは鋏を持った。


彼らの中の一人、死神たる彼女もまた同じように休むことなく死人の魂を伐採してきた。


人の身ではすぐに壊れてしまうし、移動にも不便であると、死神は人の形にくわえて動物の形にも成り代われる利便性を持っている。