顔を上げれば、彼女が僕の頬に触れた。


「私は、呪われない。お前と話しても、お前に触れても、お前と――仲良くなろうが、私は大丈夫。

ソレとの距離を見誤らない目を私は持っているから――つまり、私は自分の身ぐらい自分で守れる。

他の人と接する不安があっても、私に対しては気にせず、子供らしく、やりたいことを『やれしろ』だ」


やれしろって何だろうと思ったけど、彼女が気にするなと言っていることは分かった。


よくよく考えれば、この時は初対面のはずで、彼女が僕(子供)の口から出た呪いだなんて単語を簡単に信じ、自身にはそれが効かないというあたり、彼女は最初から、僕について知っていたんだろう。


人の右目か鳥の左目か。彼女がどちらの目で(あるいは両方)僕の呪いを見(知っ)ていたかは分からないけど、彼女の自信ある瞳は頼もしかった。