「話せているぞ、お前は。どこもおかしいことなんかないが……」
もっともな返しに、僕はしゃくりをあげたあとに補足した。
「ボクが……ひととしゃべると、そのひとがノロわれちゃうから……です」
目上の人には必ず敬語を使えと、伯母さんから教育――敬語を使わなければ、それは悪鬼だと水かけされたので、身に付きつつある敬語を含めて答えてみせた。
「だか、ら……っ、しゃべれなくて……。シュウくんも、ボクのせいでケガしたから……。
ボク、ひとりで……おともだちいなくて、フクロウさんとなかよく、なりたくて……」
とつとつと言い放たれたことは、子供特有な飛び飛びの極端すぎる文面でしかなかった。
要領を得ない。
泣き声も相まってか、子供に免疫ない人は、その馬鹿(おさな)さにしかめっ面しそうにも――彼女は頭を撫でてくれた。


