中指斬残、捌断ち儀



土汚れを落としたばかりでも、彼女はまた膝をついた。


僕の両手を握って、じぃっと右目だけでこちらを見ているのは俯いていても感じられた。


想いは、口にしなければ伝わらない。


僕はこれを、もうこの時に彼女から教わった。


彼女は助けてと言わなくても助けてくれるような人だけど、その救済が独りよがりにならないように言葉を待つんだ。


余計なお節介にならないよう、相手の想いを汲み取るべくして。


「話せばいい。きちんと聞こう」


後押しみたいな言葉が、彼女の想い。


口に出されたその優しさに、僕は知らずと涙を溢した。


「ボクは……ひとと、はなすことが……できなく、て……」

ぐずるように何とか言った言葉に、彼女は少し間を置いて、再度、口を動かした。