人間とフクロウの違いなど分かるし、フクロウが人間になるなんてないとも僕は分かっているはずだが。
プレゼントのこと、手紙のことは、僕とフクロウさんだけの秘密だ。
その秘密を知ったうえで、こうして僕に接してきてくれた彼女に、僕は懐疑を払拭していた。
細かいこと――もしかしたら、このお姉さんは影で見ていたかもしれないだなんて疑いさえもない。
彼女の言動が、嘘つきや卑怯とは程遠く、とても素直な人に見えて――そのあり方が孤高なる野鳥(フクロウ)のように、胸を張っていると思った。
灰色の髪が覆う後頭部は、このまま去ってしまうことを暗示する。
「……っ」
途端、『また一人に』という単語が頭を過り、僕は彼女の手を掴んでしまった。


