中指斬残、捌断ち儀



くっ、と顔を下げた彼女は何か苦悶しているようだが、後で考えようと思ったらしく、顔をあげた。


「それと、お前はまだ小さいのだから、ほいほいとお金を使うべきではない。お金の有り難みを早い内に知っておかないと、大きくなったときに使い道を誤るだろう。一円を笑う者は一円に泣く、だ」


握られた手が広げられ、僕の手の平に五円チョコと五百円玉が置かれた。


2000年から変わった新五百円玉を見なかったわけではないが、こうして手で持ったのはかなり久しぶりだ。前に持ったのは百々の家にいたときで、春夏秋冬の家に来てからは十円玉以上の物を僕は伯母さんから手渡されたことはない。


素材に関して無知たる僕は、単に新旧の違いを、銀が金になって更にピカピカになったとしか見ておらず、そのピカピカぶりは紙幣を持つことよりも嬉しく思えた。