中指斬残、捌断ち儀



毒気を抜かれてしまったというか、いきなりそんな言動をされてしまったので心の警鐘が鳴り止む。


ついで、彼女が言った最初の言葉を聞き逃していなかった僕はてっきり、ひらがな読めないこと(読めるけど)を叱咤ないしバカにされたのかと思ったのに、習っていないせい――つまりは僕のせいではないことにして、こちらの配慮がなかったと謝ってきたのだから、肩の力も抜けた。


今考えても、彼女はかなりこの時の僕――知識が少ない子供に対しても、分かるような言い方を選び、話してくれていたと思う。


「本当ならば、お前と話すつもりなどなかったが。手紙が読めないならば、直に注意することにした。

ここに、もう、何も置くな」