中指斬残、捌断ち儀



おこづかいというものを僕は伯母さんから貰ったことがない。


服や、学校に持って行く備品等は全て伯母さんがいつの間にか買ってきてくれたものであり、僕は春夏秋冬の家に来てから買い物ということをしていなかった。


百々の家では、母なり父なりとスーパーで買い物とか、一度、父がお金はこう出すんだよと、僕に会計の仕方を教えてくれたこともあった。


買う物に対してお金を払い、お釣りがあるならもらう。足し算と引き算は得意だから、買い物する分には問題ないけど。


「……」


“一人っきりでの買い物”はこれが初めてだと、少し戸惑いが生まれた。


胸元がきゅうぅとなるような不安、買い物において不手際はないと分かっていても、『新しいこと』をするには足が重く感じる。