中指斬残、捌断ち儀



あげて仲良くなりたいと、つまりは餌付けする気満々なわけだけど、フクロウの羽を代わりに置いていってくれたことが大きかった。


何かあげたら、何か貰えるだなんて単純な式は、子供心を煽るものだ。……もしかしたら、『餌付け』されたのは僕なのかもしれない。


フクロウにそんな意図はなかったにせよ、おかげで僕は、羽がまた貰えるとウキウキでいた。


駄菓子屋につく前に、ランドセルに入れていた十円玉五枚を僕は取り出した。


携帯電話をまだ持たせてもらっていないための十円だ。何か有事のさいは、学校に備え付けてある公衆電話でかけなさいと、伯母さんが一応持たせてくれたお金だった。


この十円玉五枚が、最初で最後の『伯母さんから手渡された僕のお金』になるわけだけど。