目ぼしい目印をつけたわけでもないので、クッキーが『ない』ということは場所が違っているとも思われそうだが。
「すごいっ、わーっ」
なくなったクッキーの代わりに、灰色の羽が一枚あった。
歓喜しつつ、その羽を拾い、辺りを見回したがフクロウはいない。
どうやらクッキーを取ったあとに、行ってしまったらしい。
残念さを覚えつつも、指先で摘まんだ羽で元気になる。
さわさわした肌触りで、とても立派な。何よりも、『クッキーのお礼に羽を置いた』という、フクロウとの友達関係に近づけた気がして、舞い上がった。
クッキーを取るときに偶然に羽が落ちた可能性もあるけど、小学生の僕は『お礼』なんだと信じるし。


