中指斬残、捌断ち儀



大概の日、伯母さんは出掛けている。『体幸会』とかいう宗教団体に入っているのは、まだ知らないが、昼間、学校から帰ってきて伯母さんが『おかえり』と言ってくれることはなかったので――いつしか僕は『ただいま』を言わないようになった。


この日とて、伯母さんはおらず、鍵をかけていない玄関に入るなり、僕はランドセルと手提げ袋を玄関隅に置いて、来た道を戻った。


マナーに厳しい伯母さんが見れば、必ず雷が落ちることだけど、伯母さんが夕方以降帰らないのはもう認知済み。


バレないだろうと高をくくり、僕は気にしなかった。


落ちないように、しかしながら迅速に長い階段を下りた。