中指斬残、捌断ち儀



「こ、これたべてっ!」


フクロウに言葉が通じると信じている僕は言った。


久々に出した大声は、よく響く。周りに人はいないと分かっていたからこそ、僕は気兼ねなく声を張り上げられた。


遠目なので確信できないけど、むくっと折り畳まれた羽が膨れ上がったように思えたので、「まって」と付け足す。


「クラスのこからもらったけど、ボク、おなかいっぱいで、たべれないからっ!」


嘘だ。
あのクラス一同のひがみを思い出すから手放したいだけなのだけど、咄嗟に僕はそんなことを言ってしまった。


要らないものをあげるだなんて、フクロウに対してもクラスのみんなに対しても後ろめたいから、こんな嘘が出たんだと思う。