中指斬残、捌断ち儀



目が覚めてからは熱も下がり、少し経てば喋れるようになったので、医者も首を捻らせながら、「大丈夫」と判断したようだった。


念のためと検査も兼ねて三日はそのまま入院するようにと、病室の前で親と話していた。


僕はと言えば、しばらく呆然と白い天井を見つめていた。


頭から抜けないあの声。


童謡のような間延びした歌が、今も目を閉じれば聞こえてくるような。


初めて聞いたはずが、ただの一回聞いただけで、僕はその歌詞を覚えてしまった。


『なかゆびざんざん』


そんな童謡を歌う潰れた声。子供とは縁遠い、大人の声だったと思い返せば、青ざめた表情の祖父母が病室に入ってきた。