伯母さんからある一定の距離をあけて、僕はそれを見ていた。
伯母さんのストッキングに染み込む水から、むわっとした異臭。
くさいと鼻を押さえて、逃げるなら今とも思ったけど――どこに逃げればいいかも分からず、僕は立ち止まるしかなかった。
僕には、帰る家がないんだから。
あるとすればこの家だけど、玄関に踏み込めないほど嫌な水が染みてしまっている。
「ぁ……」
小さく呻き、こうなったのは体当たりをした僕のせいかと謝ろうとした矢先、伯母さんが柄杓を持ったままこちらまで来た。
靴も履かずに、外にいる僕につめよる。
ストッキング履いているとも言えど、ほぼ素足で雪を歩くにはさぞや冷たかろうに。


