伯母さんは車の免許を持っておらず、その幼稚園もバスで片道一時間かかるような田舎まで送迎はしてくれない。


幼稚園にまさか電車で行けるわけもなく、来年になればどうせ小学校に入学できるし、義務教育でもない幼稚園にこだわっても仕方がないということで、この一年は家庭保育となった。


いくらだか分からないけど、それなりに養育費を貰っていた伯母さんは“体裁上仕方がなく”、幼稚園に行けないというブランクを別の形で補った。


習い事で。
書道とそろばん。
そうして家庭でできる通信講座に申し込み、毎月送られてくる教材を僕はこなして。


おかげで、僕は小学校入学前から平仮名とカタカナをマスターし、足し算も桁が多くなければ分かるようになった。