――その時は、その時だ。 もしもがあったら助けてやればいいだけで、案外、子を亡くした喜美子も我が子のように渉を可愛がってくれるかもしれないと貞夫は思い。 明子、明子の両親にしても、喜美子の言う額が『決して無理というわけでもない』と厄介なモノと関わりたくないがために、喜美子の案に了承するしかなかった。 かくして、喜美子の思い通りにことが進み、浅ましさと詭弁が混ざり合う大人たち都合により、一人の少年は家族を失った。